孝庵さんにて「乾物が未来を拓く」第二回山形講座二日目

山形での講座二日目11月4日の夜は、西川町の中でも雪深いことで有名な大井沢地区にある孝庵さんにお世話になりました。


この地区の宿坊の娘として生まれた女将の小山裕子さん。ご主人のお仕事で全国を転々として暮らした後、早期退職したご主人とともに大井沢に戻って民宿を始めたのは50歳の時。

 

それから17年、大井沢に残る食文化を守りたいと、自ら野菜を育て、乾物を作り、料理をしてお客様に出してきました。

アケビの皮を干しておき、中に根菜類や一粒ずつ自分で潰した打ち豆を入れてかんぴょうで結び、煮る。さつまいもも自家製。右下は赤こごみ
アケビの皮を干しておき、中に根菜類や一粒ずつ自分で潰した打ち豆を入れてかんぴょうで結び、煮る。さつまいもも自分で育てたもの。右下は赤こごみ。

上の写真左のものは、干したアケビの皮の中に根菜類と、自分で一粒ずつ潰した青大豆の打ち豆を入れて干瓢で結んで煮たもの。大井沢ではよく食べられているお料理とか。アケビの苦味が大人の味です。

右下は、山形ではよく食べられる赤こごみ。食感もよくとても美味しい乾物ですが、山形以外で目にしたことがありません。

積雪が普通に3mはあるこの地域に遺る乾物の文化、手作りの価値を伝えたい、と裕子さん。
積雪が普通に3mはあるこの地域に遺る乾物の文化、手作りの価値を伝えたい、と裕子さん。

下の写真はカラカイの煮物。
エイを干したものです。
新潟や山形ではよく食べられている乾物で、お正月料理の食卓にも上りますが、「最近は棒鱈の方が安いからとカラカイを食べる人が少なくなってきているのよ」と残念そう。
「カラカイ、前の日から戻してやわらか〜く煮ておいたからねっ!」と。

とても柔らかく、ホロっと崩れるもののしっかり食感もあって。
昆布とこんにゃくと一緒に煮てあります。

山葡萄の実を摘んで絞ったジュースを食前に出していただきました。

濃くてとても美味。
小学校の頃、この地域の子どもたちで山葡萄ジュースを町に売りに行って、学校のオルガンなどを購入するお金にしていたところ、役所からお叱りを受けて中止になってしまった、などと昔語りもしてくれました。
山葡萄の種も洗って集め、お手玉を作ったものだったのだとか。

山葡萄の種はお手玉に。小豆とは違って虫食いしないとのこと。
山葡萄の種はお手玉に。小豆とは違って虫食いしないとのこと。
これにお蕎麦。漬物ももちろん自家製。
これにお蕎麦。漬物ももちろん自家製。

茶目っ気もある裕子さんと、一緒に写真を撮りたい!と集まる参加者女子多数(笑)。
人里離れた大井沢の小さな宿で、日本の家庭料理の底力を感じました。

裕子さんとご主人と別れを惜しむ
裕子さんとご主人と別れを惜しむ
記念写真!
記念写真!