鳴門の「灰干しわかめ」を初めて食べた時、その食感に驚いた。
灰干しわかめとは、草木灰をまぶしてから天日で干し、
灰がついたまま製品とする乾物。江戸時代からの伝統の製法だ。
常温で1年以上保つことができる上、
灰によって太陽光が遮断されることで
クロロフィルの分解が抑えられるために実現する鮮やかな緑色、
灰に含まれるカルシウムの効果による歯ごたえの良さ、
加熱処理が不要なために残るワカメ特有の香りで、
素干しや湯通しのわかめを上回る。
ところが、平成12年1月に施行されたダイオキシン対策法で、
灰干しわかめに使用する灰をつくる小型焼却炉が規制の対象になったため、
良質の灰の確保が困難になり、
また風評被害を恐れた県が製造禁止を求めた。
そこで生産者は、灰干しならぬ炭干しの技術を産み出した。

ところが、生産者の高齢化や、
塩蔵に比べて天候に左右される(3日連続の晴天に干さなければならない)、
炭の粉でカラダが真っ黒になるなど、
製造に手間がかかることから、
2000年には徳島県内に54戸あった生産者が、
今では11戸を残すのみで存亡の危機にあるといっても過言ではない
(データは徳島新聞4月5日の記事より)。
長野県でも、かつては200を超える角寒天の生産者が
今は12軒を残すのみとなってしまった。
こうした乾物を巡る実情を知ると、
今なんとかしなければ、10年後、20年後には、
味わいたくても味わえない食材となってしまうやもしれない、
どうにかできないのかという思いが募る。
伝統の食材を継承していくためには、
私たちが今の現実を知り、食べることでサポートすることが必要だ。
DRYandPEACEに資金力があれば、後を継ぎたいとう人を送り込んで修行をしてもらうプログラムを考えたいところなのだが、、、。
まずは、一人でも多くの人に、こうした現状を知ってほしいと思う。
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